お困りではありませんか?
精神の病気のご家族をお持ちの方の苦しみは、筆舌尽くしがたいものです。 愛するお子様やご兄弟、パートナーが発病したとき、その現実を受け止めることはとても難しいことです。受け止められても「どうしてこんなことになってしまったのか」「どうすれば治るのか」「どのくらいの期間で回復するのか」と、難問をご自身に向けて問い続けられるのではないでしょうか。
最初にすべきこと
まず、一番心配されているご家族が、患者ご本人の支えになり、何事にも落ち着いて対処しなければなりません。本人はとても苦しく不安定な状態です。 第一歩として、信頼できる医療機関にしっかりと委ねてみることです。はじめは、本人もご家族も病気だと認識できないことは普通です。受診してもらえないことも、薬を飲んでもらえないこともよくあることです。しかし、あわてず、根気よく医療機関に導きましょう。
きっとお力になります
そのようなとき、お勧めしたいのは、病院あるいは地域に根差した家族会とつながりをつけることです。同様の苦しみを味わい、さまざまな問題に直面して一歩一歩進んでいる家族の方々に、ご自身の悩みや苦しみを聞いてもらえることができます。そうすると、苦しみはやわらぎ、見えなかったものが見えてくることになるでしょう。
何よりも、落ち着いて病気のことや治療のことを考えるきっかけができ、気楽に相談できる相手が、尋ねられる場所があるのだという安心感を得ることができます。これは、他の何にも代えがたい、あたたかいサポートだと言えるでしょう。
思い込み、偏見
精神の病気とはどういうものなのか、よく知っている方、理解できている方はまれです。精神の病気にもさまざまなものがあり、症状も一定しませんので、当然、一律に扱うことができません。
また、怪我のように、健康でないことを視覚的に確認できるわけでも、内科的な病気のように数値で表現できるわけでもありません。そのため、病気と理解されず、「本人の考え方・心がけの問題」とされたり、あるいは「育て方が悪かったから」「遺伝だから」と当人や家族に原因すべてを帰す考え方も、残念ながら一般的なものです。
このように、精神論や環境または遺伝の問題として精神の病気が取り扱われ、ふつうの病気と同様に扱われないことが、当事者、家族が納得できない、解決できない苦しみをもたらし、精神の病気の理解が進まない大きな障害となっています。
症状、原因、対処法はさまざまです。
精神の病気の症状、その原因、そして対処法は様々です。薬剤も、心理的なアプローチも、リハビリ方法も幅広いので、経緯や状況に応じてしっかりと治療・対処方針を立て、医師、医療スタッフの支援をいただき、中長期的に取り組むことが求められます。また、精神の病気については、その他の内科や外科の病気と同じように患者、家族が納得できないことも多いため、しっかりと治療やリハビリに臨めないこともあります。最初の関門は、精神の病気について冷静に受け入れられるようになることです。
多くの支援を得て前進してください。
そのことを「病識を持つ」と言うことがあります。医師の説明だけでは理解できない、納得できないことも多いでしょう。医学書を読んでも、なかなか腑に落ちないかも知れません。そのようなとき、同じような経験をされた方々の話を聞いて、参考にされると良いでしょう。当事者、ご家族の状況や経緯の話を聞いていただけると、少し気持ちが楽になることもよくあります。また、お困りの状況を客観的にとらえることができるかも知れません。
現在、十分ではない面もありますが、私たちは、医療費の補助や年金の支給など限らず、行政や医療・福祉の機関が行うさまざまな支援を受けることができるようになっています。できるだけ早い段階から、信頼できる医療機関、医師にかかり、相談できる行政や家族会とつながり、いろいろな方々の支援と共に前進されることをお勧めします。